相続税について説明します。説明は2023年12月時点の情報に基づいています。
法定相続人には下記の順位があります。
相続は下記の様に分配されます。
第一順位(直系卑属)の分配は下記のルールに従います。
第二順位(直系尊属)の分配は下記のルールに従います。
第三位(傍系血族)の分配は下記のルールに従います。
その他の注意事項
配偶者と第一順位(直系卑属)のケース
第一順位(直系卑属)が一人もおらず、配偶者と第二順位(直系尊属)で分配する場合
第一順位(直系卑属)も第二順位(直剣尊属)が一人もおらず、配偶者と第三順位(傍系血族)で分配する場合
配偶者が居ないまたは他界していて第一順位(直系卑属)が1人でも居る場合
配偶者と第一順位(直系卑属)が一人もおらず、第二順位(直系尊属)で分配する場合
配偶者も第一順位(直系卑属)も第二順位(直剣尊属)が一人もおらず、第三順位(傍系血族)で分配する場合
相続税は大まかには下記の流れで計算します。
まず「相続税の課税価格」を算出します。借金や債務がある場合はマイナスします。
相続税の課税価格 = 現金、預貯金、有価証券、貸付金、 土地、家屋、 死亡保険金、死亡退職金、 車、貴金属、 賃借権、特許権、著作権 など、 相続時精算課税対象の贈与財産、 相続開始前3年以内の贈与財産(2024年からは7年)、 ー 借金・債務
下記のものは相続税の計算上、遺産から除外することができます。
除外遺産 = 葬儀費用、 国・公共団体・公益法人等への寄付財産(手続きが必要)、 墓、仏壇、祭具など、 死亡保険金の内、500万円×法定相続人数、 死亡退職金の内、500万円×法定相続人数
詳細は下記を参照してください。
「相続税の課税価格」から「基礎控除額」と「小規模宅地等の特例」を差し引いたものが「課税対象遺産総額」となります。
課税対象遺産総額 = 相続税の課税価格 ー 基礎控除額 ー 小規模宅地等の特例
「基礎控除額」は下記で計算します。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数の中に養子が居る場合は、下記の様に数えます。
詳細は下記を参照してください。
住居や事務所が条件を満たす場合は小規模宅地等の特例により、土地・家屋評価額の 80% などの額を「課税対象遺産総額」から控除することができます。
課税対象遺産総額 = 相続税の課税価格 ー 基礎控除額 ー 小規模宅地等の特例
詳細は下記を参照してください。
各個人の相続税を計算するには「法定課税対象額」「法定相続税額」「相続税の総額」を計算する必要があります。「法定課税対象額」は「課税対象遺産総額」を実際の配分ではなく「法定配分」で配分して求めます。例えば「相続税の課税価格」1億円を配偶者と子2人が相続し、「小規模宅地等の特例」は無い場合、
課税対象遺産総額 = 相続税の課税価格(1億円) ー 基礎控除額(3,000万円+600万×3人) ー 小規模宅地等の特例(0円) = 5,200万円 法定課税対象額 = 配偶者:課税対象遺産総額(5,200万円) × 50% = 2,600万円 第一子:課税対象遺産総額(5,200万円) × 25% = 1,300万円 第二子:課税対象遺産総額(5,200万円) × 25% = 1,300万円
これを下記の表にあてはめて「法定相続税額」を算出します。
法定相続分額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | ー |
1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
前出の例で代償分割が無い場合「法定相続税額」「相続税の総額」は次のようになります。
法定相続税額 = 配偶者:法定課税対象額(2,600万円) × 15% ー 50万円 = 340万円 第一子:法定課税対象額(1,300万円) × 15% ー 50万円 = 145万円 第二子:法定課税対象額(1,300万円) × 15% ー 50万円 = 145万円 相続税の総額:630万円 (合計)
ただし、土地・家屋などの資産は分割せず長兄に相続させ、代償として長兄が弟妹に現金を支払った場合などは「代償分割」が行われたと見なして配分を見直すことがあります。
長兄の課税価格 = 法定課税対象 ー 現金支払い分 × (現在の評価額 / 算出時の評価額) 弟妹の課税価格 = 法定課税対象 + 現金支払い分 × (現在の評価額 / 算出時の評価額)
詳細は下記を参照してください。
「実相続税額(控除・加算前)」は「相続税の総額」を実際の配分で分割します。例えば、配偶者が60%、子2人が20%ずつ配分する場合、次の様になります。
実相続税額(控除・加算前) = 配偶者:相続税の総額(650万円) × 60% = 378万円 第一子:相続税の総額(650万円) × 20% = 126万円 第二子:相続税の総額(650万円) × 20% = 126万円 合計:630万円
配偶者には特別控除があり、法定割合通りに相続する場合や、法定通りでなくても相続額が1億6,000万円を超えるまでは相続税が免除されます。これらを超える場合は、上記で計算した「実相続税額(控除・加算前)」から下記の計算の控除額を差し引きます。
(A) 配偶者の法定相続額 (B) 1億6,000万円 (C) 上記(A)と(B)の小さい方 (D) 配偶者の実相続税額(控除・加算前) (E) 上記(C)と(D)の大きい方
上記の例で計算すると次のようになります。
(A) 配偶者の法定相続額 = 5000万円 (B) 1億6,000万円 (C) 上記(A)と(B)の小さい方 = 5000万円 (D) 配偶者の実相続額(控除・加算前) = 6000万円 (E) 上記(C)と(D)の大きい方 = 6000万円
「配偶者特別控除」を受けるには下記の条件を満たしている必要があります。
相続人が未成年で条件を満たす場合は、下記の金額を未成年者の相続税額から差し引くことができます。控除額が相続税額を超える場合は差額を扶養義務者(条件付)の相続税から差し引くことができます。
未成年者控除額 = 10万円 × (20歳 ー 未成年者の年齢)
詳細は下記を参照してください。
相続人が障害者で条件を満たす場合は、下記の金額を未成年者の相続税額から差し引くことができます。控除額が相続税額を超える場合は差額を扶養義務者(条件付)の相続税から差し引くことができます。
障害者控除額 = 一般障害者の場合:10万円 × (85歳 ー 障害者の年齢) 特別障害者の場合:20万円 × (85歳 ー 障害者の年齢)
詳細は下記を参照してください。
10年以内に複数回の相続が発生した場合に相続税の一部を控除するものです。祖父から父が相続し、10年以内に父から子(今回の相続人)に相続したケースで説明します。
相次相続控除額 = A × C/(B-A)[100/100を超える場合は100/100] × D/C × (10 - E)/10 A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額 B:今回の被相続人が前の相続の際に取得した純資産価額 C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額 D:今回のその相続人の純資産価額 E:前の相続から今回の相続までの期間
詳細は下記を参照してください。
被相続人が亡くなる前3年以内に受けた贈与に関わる贈与税を払っている場合は、支払った贈与税分を控除することができます。
\相続を受ける者が配偶者、一親等の血族(父母、実子)、代襲相続した直系卑属以外の場合、その人の相続税額が2割加算されます。例えば、養子や、兄弟姉妹などの二親等、甥姪などの三親等は2割加算されます。
加算後の相続税額 = 加算前の相続税額 × 1.2
詳細は下記を参照してください。
実際の相続税を下記で計算してみましょう。「⑩実相続額」が相続される金額で、「⑬実相続税額」が支払う必要がある相続税です。
①相続税の課税価格 | 万円 |
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②基礎控除額 (3,000万円+600万×相続人数) | |
③課税対象遺産総額(①-②) | |
⑫配偶者特別控除 |
相続人 | ④法定配分 | ⑤実配分 | ⑥法定 相続額 |
⑦法定 課税 対象額 |
⑧法定 相続税額 |
⑩実 相続額 |
⑪実 相続税額 (控除前) |
⑬実 相続税額 (控除後) |
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配偶者 | % | % | |||||||
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% | % | ||||||||
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合計 |