広島お好み焼き入門

広島のお好み焼き屋さんで美味しいと評判なのが「八昌」。でも、青八昌系、赤八昌系、だるま八昌系などいろいろあるようですので、整理してみました。
目次

元祖八昌系(赤八昌)

「八昌」の名前を最初に使い始めたお店。のれんが赤いことから「赤八昌」とも呼ばれます。

元祖八昌(竹屋町)

お好み村の初代村長 古田正三郎さんが(1955年に?)開業されたのが、現在もお好み村に残る「ちいちゃん」。現在は正三郎さんの次男さんが継いでおられます。古田正三郎さんの長男(古田隆則さん)がプレハブ時代のお好み村1階で1965年に開業したのが赤いのれんの「八昌」。現在は中区竹屋町に移転して「元祖八昌」に名前を変え、2016年からは隆則さんの三女(古田由香さん)が継いでおられます。カウンター6席くらいの近所の常連客に愛されるお店。赤い店構えから「赤八昌」とも、だるまの提灯があることから「達磨八昌」とも呼ばれます。いその麺。ソースはミツワソースで、青八昌とは違った味わいです。他にも正三郎さんの長女が経営する「たけのこ(お好み村)」、隆則さんの次女(中田百合子さん)が経営する「ゆりちゃん(沼田町)」など、お好み店経営一家のようです。「村長の家」も古田さん一族(未確認)?

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340101/34000044/

青八昌系(第一世代)

八昌系の中でも、小川さん自身が経営にあたられたのが下記の3店かと思います。のれんが青いことから「青八昌」とも呼ばれます。

薬研堀 八昌(薬研堀)

古田隆則さんのお好み村1階時代の「八昌」(後の「元祖八昌」)で修業した小川弘喜さんがのれん分けで開業されたのが青いのれんの「薬研堀 八昌」。ミシュランガイド掲載。食べログ百名店。「八昌」の名前をブレイクさせた有名なお店です。いその麺使用。正円ではなく少し楕円形。卵は特別に仕入れた二黄卵が特徴。じっくり蒸すので焼きあがるのに20~30分程度かかります。夕方 16:00 からしかあいておらず、いつも長蛇の列となるため、観光客にとっては来訪難易度の高い店になります。今は片山義邦さんが店を継がれています。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340110/34000100/

お好み焼き 八昌(銀山町・中区胡町)

小川さんが薬研堀 八昌を弟子に譲り、五日市店開業の後、幟町(銀山町)で2014年5月に開業されたのがこちらの八昌。こちらは逆に昼間しかやっていません。薬研堀ほどではないですが、並びます。ミシュラン掲載。食べログ百名店。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340108/34019405/

五日市 八昌(五日市)

こちらも小川さんが2008年に開業されたお店。広島駅からJRで15分ほどの郊外にあります。こちらは 11:00~14:30、17:00~20:30 までやっているようですが、やはり、週末となると並びます。今は薬研堀八昌で修業された中澤悟さんが店を引き継がれています。ミシュラン掲載。食べログ百名店。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340126/34002563/

たかのばし 八昌(鷹野橋→胡町)

元々は鷹野橋での営業でしたが、今は胡町に移転されています。いその麺使用。

※ 第二世代の章に記載してしまっていましたが、たかのばし八昌さんは小川さんの八昌ではなく、元祖八昌系の古田さんから直接暖簾分けされたので第二世代ではなく、第一世代になるとの情報をいただきました。今は、昼間はマスターが、夜はマスターの娘さんが焼かれているそうです。すみません。訂正させていただきます。(2024.8.14)

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340109/34002077/

青八昌系(第二世代)

上記青八昌で修業されたお弟子さんが独立されたのが、下記あたり。八昌(薬研堀)のお店に行くと、「八昌(五日市)」、「得」、「櫓」、「じゃけん」、「ロペズ」、「八昌(経堂)」、「そば玉や(岩国)」、「八昌(博多)」、「カンラン(西荻久保)」、「剛毅(祖師谷)」の10店が、特に認められたのれん分け店(?)として、掲げられていました。

ロペズ(西区楠木町)

青八昌系列の中で意外に人気が高いのがこのお店。食べログ百名店。グアテマラ出身のロペズさんが八昌で修業して独立。パラペーニョトッピングがおススメ。ロペズからさらに独立したお店も「やまさ家」、「Masaru」、「テツジロ」など目立ってきました。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340103/34000131/

八紘(薬研堀)

「はっこう」と読みます。ラーメンで「家系」というのがありますが、「八系」と言うのですかね。こちらも有名店で食べログ百名店に登録されています。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340110/34000120/

お好み焼 八峯(南区出汐)

「はっぽう」と読みます。2号線に面していて駐車場も3台あり入りやすいです。鉄板カウンターと2~4名席が4つ。暖簾は青色。オタフクソース。若いおにいちゃんが焼いてくれました。食べログの写真では二黄卵でしたが、私が行った時は一黄卵でした。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340123/34015012/

お好み焼き 得(西区横川町)

八昌系列の中では古参だそうです。青八昌系列のお店がミツワソースからオタフクソースに一斉に変わった中、八紘とこの店だけはミツワソースで続けられているとか。いその麺使用。のれんは黒いです。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340103/34002771/

八昌 西広島駅前店(西区己斐本町)

西広島駅の前にあります。店構えの青色がまぶしいです。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340122/34020649/

えんじゃ(お好み共和国)[閉店]

お好み村の隣の隣にあるお好み共和国で経営されていましたが、今は閉店しているようです。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340114/34000034/

櫓(やぐら)(安芸郡府中町)[掲載保留]

八昌で修行された韓国出身のおばちゃんが経営。食べログで [掲載保留] になっているけど、今もやっているのかな。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340105/34002141/

青八昌系(第三世代)

最近は、八昌から独立したお店で修業してさらに独立という孫的なお店も増えてきました。

やまさ家(安佐南区高取北)[閉店]

ミシュラン掲載。食べログ百名店。和食の料理人だった黄本さんがロペズのお好み焼きに衝撃を受け、ロペズで修業後に開業。のれんは赤いです。いその麺。とろとろ半熟玉子がのっかってバランスもよく、トロタマ族としては至高のお好み焼きでした。個人的にも広島市内で一番おいしいんじゃないかと好きなお好み焼きだったのですが、残念ながら2024年5月24日に閉店されました。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340107/34000287/

Masaru(東区光町)

こちらもロペズで修業されたマスターが開業。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340121/34014562/

お好み焼きテツジロ(廿日市市大東)

こちらもロペズから独立。ハラペーニョもあります。

https://tabelog.com/hiroshima/A3402/A340201/34018911/

八誠(中区富士見町)

八紘で修行された方が開業。いその麺。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340117/34001574/

ただ志(呉市広本町)

東京の 九嶺 の店主が地元の呉に戻って開業されたそうです。青暖簾、磯野麺、二黄卵。

https://tabelog.com/hiroshima/A3404/A340401/34028255/

青八昌系(広島以外)

最近は広島以外にも八昌の血を引くお店が広がっています。

八昌(経堂・東京都世田谷区)

東京の八昌の中心的な存在。しっかりと青のれん、二黄卵です。食べログ百名店。

https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131813/13013135/

博多八昌 西新店(福岡市早良区西新)

西新駅から徒歩3分。こちらもしっかり青のれん、二黄卵です。

https://tabelog.com/fukuoka/A4002/A400203/40000467/

カンラン(西荻窪・東京都杉並区西萩南)

名前からも外観からも青八昌系とは見えませんが、八昌(薬研堀)にもしっかり掲載されているお店です。

https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131907/13044228/

お好み焼き 剛毅(祖師谷・東京都世田谷区砧)

八昌(薬研堀)で修業されたちょっとロック系のご主人が東京で開業。

https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131814/13100616/

広島お好み焼き おこたろう(東京都葛飾区亀有)

食べログのお好み焼き百名店のひとつ。東京出身の店主がロペズで修業した後、東京に戻って開店。

https://tabelog.com/tokyo/A1324/A132403/13061247/

お好み焼き九嶺 (東京都多摩市関戸)[閉店]

八昌(経堂)やカンラン(西荻窪)で修業されたカープファンのご主人。店名は呉市のお酒の名前から。現在は閉店して呉に戻り ただ志 を開店されているそうです。

https://tabelog.com/tokyo/A1327/A132702/13129461/

広島焼じゃけん(横浜市中区長者町)[閉店]

広島の八昌(薬研堀)で修業されたご主人。店名は広島の方言「~じゃけん」でしょうね。現在は閉店。

https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140104/14015281/

そば玉や(岩国市麻里布町)

八昌(薬研堀)で修業されたご主人。二黄卵を使用されています。

https://tabelog.com/yamaguchi/A3506/A350601/35000655/

もうひとつの赤八昌・だるま八昌系

「八昌」の名前ではありますが、小川さんの青八昌とは別の系列店がこちら。

八昌(お好み村2階)

広島で有名な「お好み村」に、有名な「八昌」が入っているので、よく観光客に間違われますが、小川さんが修業された八昌(元祖八昌)が、お好み村から移転した際に、その店をそのままの店名で、別の方がはじめられたと言われているのがこちらの八昌。赤いのれん、だるまの絵をそのまま使用していることから、こちらも、「赤八昌」とか「だるま八昌」とか呼ばれることがあります。青八昌系列ではないことから「偽八昌」とか書かれたりすることもあるようですが、元祖八昌の古田さん、青八昌の小川さん達もあまりそのようなことにこだわるのをよしとされていないように見えます。「店名も暖簾もそのまま使ってえ~よ」と言ったのは古田さんだったのかもしれません(あくまで想像ですが)。食べログを見るとこちらもなかなか美味しいそうですよ。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340114/34002533/

八昌 流川店(流川)

現在のお好み村の八昌の系列店。店舗が広く深夜4時まで営業されているようです。

https://tabelog.com/hiroshima/A3401/A340109/34000180/

だるまの八昌 宮島店(宮島)

お好み村の八昌の息子さんの豊田典正さんが宮島で開店されたお店。現在はお好み村組合の理事長もされているようです。

https://tabelog.com/hiroshima/A3402/A340202/34023032/

その他いろいろ

広島風お好み焼きの呼び方

私は、中学生になるまで大阪風のお好み焼きの存在を知りませんでした。近所のお好み焼き屋が「まぜ焼き」というのを始めて、「世の中にはこんなけったいなお好み焼きもあるんだ・・・」と思っていたほどです。それからしばらくして、全国では「まぜ焼き」つまり「大阪風のお好み焼き」の方が一般的で、広島風の方がマイナーだということを知って衝撃を受けます。そんな人が多いので、「お好み焼きっつたら、広島風じゃろが」との思いを捨てきれず、「広島焼き」と呼ばれると、つい、カチンときてしまうのでしょうね。「広島風のお好み焼き」であればオッケーです。「広島風お好み焼き」は、まぁ、許せる。「広島焼き」カチン! そんな感じです。

広島で一番有名なお好み焼き屋「徳川」

広島風のお好み焼きが文化の広島ですが、広島の中で一番有名なお好み焼き屋は実は「徳川」という大阪風が中心のお好み焼き屋です。広島風のお好み焼き屋が家族だけで経営する小さな規模の店が多いのに対して、広島の東洋観光グループという観光系の企業グループがチェーン店として経営するお好み焼きがや「徳川」。店舗数も多く、テレビCMもやっているので、子供達でも口ずさむことができます。「さっささささっと、かきまぜまして~、まぁるく、まぁるく、作りましょ~♪」。

いその麺

広島のお好み焼きを語る上ではずせないのが、広島市東区東蟹屋町にある「磯野製麺株式会社」製造の広島風お好み焼き専用の麺。通称「いその麺」。長時間たってもコシが長続きするのが特徴です。このページで紹介した多くの八昌系に加え、「電光石火」、「みっちゃん」、「徳川」、「ちんちくりん」、「貴家。」、「大樹」、「長田屋」、「弁兵衛」、「いっちゃん」、「麗ちゃん」など、広島の有名なお好み焼き屋の多くが磯野製麺の麺を使用しています。