GIFの特許問題について

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2004年6月20日、日本においても Unisys社の特許が有効期限が切れました。これに伴い、Giam などのシェアウェアがフリーソフトとして公開を始めました。(2004.6.20追記)

GIFの特許問題とは?

GIF画像を作成したり表示したりする際には、Unisys 社の特許技術が必要なため、例えば下記のような行為が禁止されています。

どんな特許なの?

GIFでは画像データ部分を「LZW(Lempel Ziv Wilch)圧縮法」という技術で圧縮していますが、この技術が米国 Unisys 社の特許になっています。1985年に「High speed data compression and decompression apparatus and method」(USP4,558,302)というタイトルで米国で特許が成立しました。続いて日本でも特許が成立しています。基本的には、「AAAAAAAA」というデータの並びを「A×8」のように圧縮する技術の延長だそうです。

うちで使っているソフトは大丈夫?

Microsoft や Netscape の一般向け製品や、PhotoShop などの大半の有償ソフトは既に Unisys 社と契約済みのソフトなので大丈夫です。心配であれば、マニュアルを調べたり、製造元に確認してみてください。個人が開発しているフリーソフトは未契約のものが多いかもしれません。

Windows XP の「ペイント」が、標準で GIF をサポートしました。アニメーション GIF には対応していませんが、BMP 形式で保存されたファイルを GIF 形式に変換することができるようです。他に、GIF を扱える安価なソフトとしては Pixef2(1,680円)などがあるようです。

とほほカウンター(gifcat.pl)は大丈夫なの?

とほほカウンター(WwwCounter)」に含まれる gifcat.pl でも GIF ファイルの連結という GIF 関連操作を行っていますが、これは、GIF ファイルのヘッダ部分の操作と画像の連結のみであり、GIF ファイル中の圧縮された画像データを解凍したり圧縮したりはしません。Unisys 社の特許には抵触しないことを Unisys 社にも確認済みであり、問題ありません。

◆特許に抵触する例
未圧縮の表示用
画像データ
→圧縮→
←解凍←
ヘッダ圧縮された
画像データ
◆特許に抵触しない例
ヘッダ圧縮された
画像データ
ヘッダ圧縮された
画像データ
ヘッダ圧縮された
画像データ
↓GIFアニメ化(データ部の圧縮・解凍は行わない)↓
ヘッダ 圧縮された
画像データ
圧縮された
画像データ
圧縮された
画像データ

ソフト開発者の注意

開発環境やライブラリが GIF 画像を表示する機能をサポートしており、それを利用したアプリケーションを作成するだけでも、Unisys 社との契約が必要な場合があります。ライブラリの提供者が既に Unisys との契約を結んでいる場合もありますが、Microsoft のライブラリや Java などでは、そのライブラリを利用する側が個別に Unisys 社と契約する必要があります。

簡単な歴史

ここで、GIF に関する歴史を簡単に振り返ってみます。

1985年
米国で Unisys 社の LZW 特許が成立。
1987年
米国のパソコン通信会社 CompuServe 社(現在は AOL に吸収)が、自社のネット上で画像を交換する際の推奨仕様として GIF を発表。
1993年
GIF のアルゴリズムが LZW 特許に抵触していることが発覚。
1994年
CompuServe 社が Unisys 社に特許料を払うことで合意。この時点で Unisys 社は、フリーソフトに関しては特許料を徴収しないという声明を発表していたそうです。いくつものフリーソフトが開発され、ブラウザの標準画像フォーマットとしても急速に広まる。
1996年
Unisys が急に前言を撤回。フリーソフトに対しても特許料の徴収を開始。
1999年
個別にライセンスを結ぶのが面倒なサイトに対して、一括5,000ドルの特許料を徴収する形のライセンス形態を発表。(このライセンスについては、「安全料だと思って5,000ドル払え」のような誤解が生じていて、このページでも以前はそうした紹介を行っていましたが、株価情報をなどをGIFグラフでリアルタイム表示するような一部のサイトに対する一括ライセンス・・・というのが真相らしいです。)
2003年
6月20日、米国で特許の有効期限が切れました。心配されていた存続特許の申請も無いそうです。
2004年
6月20日、日本でも特許の有効期限が切れました。GIF サポートフリーソフトが復活しました。

特許なんだから特許料を取るのはあたりまえ?

「特許なんだから特許料を取るのはあたりまえ」という見方もありますが、問題はその経過にあります。それは、当初「フリーソフトに関しては特許料を徴収しない」と宣言しておいて、数多くのフリーソフトが開発&配布されるようになった後で、「やっぱり、徴収する」といったやりかたは感心できません。GIF が広まったのは LZW という技術のすばらしさだけではなく、数多くのフリーソフトに支えられていたと思うのですが、これでは「詐欺」と呼ばれるのもうなずけるように思えて仕方ありません。

みんなPNGを使いたいけれど・・・

GIF の特許問題を回避するため、LZW 特許を使用しない新しい画像フォーマット PNG(Portable Network Graphics)が W3C で開発されました。機能的にも GIF より優れていますが、GIF アニメーションをサポートしていない、古いブラウザでは表示できない、IE4~IE6 では透過処理に問題がある、などの理由で、なかなか普及には至っていないようです。

特許の有効期限が切れるまで耐えよう?

Unisys の特許は米国で 2003年、日本で 2004年頃に有効期限が切れるそうです。それまで待てば、あとは安心して GIF を使用できるようになるかもしれません・・・が、しかし、日本はともかく、米国では保有する特許に改良を加える事によって特許の期限を延ばしたりすることが可能らしいので、ちょっと怪しいかもしれません。

米国で 2003年6月20日、特許の有効期限が切れました。心配されていた期間延長目的の追加特許の申請も無いようです。日本でも 2004年6月20日に有効期限が切れます。もう少しの辛抱ですね。

日本でも 2004年6月20日、特許の有効期限が切れました。Giam などがフリーソフトとして復活しています。(2004.6.20追記)

参考文献


Copyright (C) 1999-2004 杜甫々
初版:1999年12月12日、最終更新:2004年6月20日
http://www.tohoho-web.com/wwwxx051.htm