ある日ビールを飲んでいると、ビールの缶に下図のような突起がありました。点字です。何て書いてあるのか知りたくなり、WWW入門をちょっとお休みして、番外編「点字入門」を作成してみました。このページは出典さえ明記していただければ、コピー、印刷、ばらまき自由ですのでご利用ください。
● ●● ● ● ●● ● ●●
点字はすべて6個の点で表わされます。それぞれの点を1の点~6の点と呼びます。1の点~6の点を合わせてマスと呼びます。
14 25 36 |
あいうえおは、左上側の3つの点のみを用います。これは丸覚えしましょう。
ア | イ | ウ | エ | オ |
---|---|---|---|---|
●○ ○○ ○○ |
●○ ●○ ○○ |
●● ○○ ○○ |
●● ●○ ○○ |
○● ●○ ○○ |
か,さ,た,な,は,ま,ら行は、右下側の3つの点で子音(K,S,T,N,H,M, R)を表わし、母音(A,I,U,E,O)と組み合わせて使用します。結構簡単ですね。
カ | キ | ク | ケ | コ |
---|---|---|---|---|
●○ ○○ ○● |
●○ ●○ ○● |
●● ○○ ○● |
●● ●○ ○● |
○● ●○ ○● |
サ | シ | ス | セ | ソ |
●○ ○● ○● |
●○ ●● ○● |
●● ○● ○● |
●● ●● ○● |
○● ●● ○● |
タ | チ | ツ | テ | ト |
●○ ○● ●○ |
●○ ●● ●○ |
●● ○● ●○ |
●● ●● ●○ |
○● ●● ●○ |
ナ | ニ | ヌ | ネ | ノ |
●○ ○○ ●○ |
●○ ●○ ●○ |
●● ○○ ●○ |
●● ●○ ●○ |
○● ●○ ●○ |
ハ | ヒ | フ | ヘ | ホ |
●○ ○○ ●● |
●○ ●○ ●● |
●● ○○ ●● |
●● ●○ ●● |
○● ●○ ●● |
マ | ミ | ム | メ | モ |
●○ ○● ●● |
●○ ●● ●● |
●● ○● ●● |
●● ●● ●● |
○● ●● ●● |
ラ | リ | ル | レ | ロ |
●○ ○● ○○ |
●○ ●● ○○ |
●● ○● ○○ |
●● ●● ○○ |
○● ●● ○○ |
「や,ゆ,よ」はちょっと特殊で、「あ,う,お」の点を下に落として右上の点を加えます。
ヤ | ユ | ヨ | ||
---|---|---|---|---|
○● ○○ ●○ |
○● ○○ ●● |
○● ○● ●○ |
「ワ,ヰ,ヱ,ヲ」も特殊で「ア,イ,エ,オ」の点を下に落とします。
ワ | ヰ | ヱ | ヲ | |
---|---|---|---|---|
○○ ○○ ●○ |
○○ ●○ ●○ |
○○ ●● ●○ |
○○ ○● ●○ |
濁音(゛)は5の点のマスを用いて次のようにします。
ヴ | ||||
---|---|---|---|---|
○○ ●● ○● ○○ ○○ ○○ |
||||
ガ | ギ | グ | ゲ | ゴ |
○○ ●○ ○● ○○ ○○ ○● |
○○ ●○ ○● ●○ ○○ ○● |
○○ ●● ○● ○○ ○○ ○● |
○○ ●● ○● ●○ ○○ ○● |
○○ ○● ○● ●○ ○○ ○● |
ザ | ジ | ズ | ゼ | ゾ |
○○ ●○ ○● ○● ○○ ○● |
○○ ●○ ○● ●● ○○ ○● |
○○ ●● ○● ○● ○○ ○● |
○○ ●● ○● ●● ○○ ○● |
○○ ○● ○● ●● ○○ ○● |
ダ | ヂ | ヅ | デ | ド |
○○ ●○ ○● ○● ○○ ●○ |
○○ ●○ ○● ●● ○○ ●○ |
○○ ●● ○● ○● ○○ ●○ |
○○ ●● ○● ●● ○○ ●○ |
○○ ○● ○● ●● ○○ ●○ |
バ | ビ | ブ | べ | ボ |
○○ ●○ ○● ○○ ○○ ●● |
○○ ●○ ○● ●○ ○○ ●● |
○○ ●● ○● ○○ ○○ ●● |
○○ ●● ○● ●○ ○○ ●● |
○○ ○● ○● ●○ ○○ ●● |
半濁音(゜)は6の点マスを用いて次のようにします。
パ | ピ | プ | ペ | ポ |
---|---|---|---|---|
○○ ●○ ○○ ○○ ○● ●● |
○○ ●○ ○○ ●○ ○● ●● |
○○ ●● ○○ ○○ ○● ●● |
○○ ●● ○○ ●○ ○● ●● |
○○ ○● ○○ ●○ ○● ●● |
拗音(ャ,ィ,ュ,ェ,ョ)は4の点マスを用いて次のようにします。
イェ | ||||
---|---|---|---|---|
○● ●● ○○ ●○ ○○ ○○ |
||||
キャ | キュ | キェ | キョ | |
○● ●○ ○○ ○○ ○○ ○● |
○● ●● ○○ ○○ ○○ ○● |
○● ●● ○○ ●○ ○○ ○● |
○● ○● ○○ ●○ ○○ ○● |
|
シャ | スィ | シュ | シェ | ショ |
○● ●○ ○○ ○● ○○ ○● |
○● ●○ ○○ ●● ○○ ○● |
○● ●● ○○ ○● ○○ ○● |
○● ●● ○○ ●● ○○ ○● |
○● ○● ○○ ●● ○○ ○● |
チャ | ティ | チュ | チェ | チョ |
○● ●○ ○○ ○● ○○ ●○ |
○● ●○ ○○ ●● ○○ ●○ |
○● ●● ○○ ○● ○○ ●○ |
○● ●● ○○ ●● ○○ ●○ |
○● ○● ○○ ●● ○○ ●○ |
ニャ | ニュ | ニェ | ニョ | |
○● ●○ ○○ ○○ ○○ ●○ |
○● ●● ○○ ○○ ○○ ●○ |
○● ●● ○○ ●○ ○○ ●○ |
○● ○● ○○ ●○ ○○ ●○ |
|
ヒャ | ヒュ | ヒェ | ヒョ | |
○● ●○ ○○ ○○ ○○ ●● |
○● ●● ○○ ○○ ○○ ●● |
○● ●● ○○ ●○ ○○ ●● |
○● ○● ○○ ●○ ○○ ●● |
|
ミャ | ミュ | ミョ | ||
○● ●○ ○○ ○● ○○ ●● |
○● ●● ○○ ○● ○○ ●● |
○● ○● ○○ ●● ○○ ●● |
||
リャ | リュ | リョ | ||
○● ●○ ○○ ○● ○○ ○○ |
○● ●● ○○ ○● ○○ ○○ |
○● ○● ○○ ●● ○○ ○○ |
拗濁音は拗音(ャ,ィ,ュ,ェ,ョ)と濁音(゛)の組み合わせですね。
ギャ | ギュ | ギョ | ||
---|---|---|---|---|
○● ●○ ○● ○○ ○○ ○● |
○● ●● ○● ○○ ○○ ○● |
○● ○● ○● ●○ ○○ ○● |
||
ジャ | ズィ | ジュ | ジェ | ジョ |
○● ●○ ○● ○● ○○ ○● |
○● ●○ ○● ●● ○○ ○● |
○● ●● ○● ○● ○○ ○● |
○● ●● ○● ●● ○○ ○● |
○● ○● ○● ●● ○○ ○● |
ヂャ | ディ | ヂュ | ヂョ | |
○● ●○ ○● ○● ○○ ●○ |
○● ●○ ○● ●● ○○ ●○ |
○● ●● ○● ○● ○○ ●○ |
○● ○● ○● ●● ○○ ●○ |
|
ビャ | ビュ | ビョ | ||
○● ●○ ○● ○○ ○○ ●● |
○● ●● ○● ○○ ○○ ●● |
○● ○● ○● ●○ ○○ ●● |
拗半濁音は拗音(ャ,ュ,ョ)と半濁音(゜)の組み合わせですね。
ピャ | ピュ | ピョ | ||
---|---|---|---|---|
○● ●○ ○○ ○○ ○● ●● |
○● ●● ○○ ○○ ○● ●● |
○● ○● ○○ ●○ ○● ●● |
外来語などで使用する特殊な音としては次のものがあります。ちょっと、難しくなってきました。
ウァ | ウィ | ウェ | ウォ | |
---|---|---|---|---|
○○ ●○ ●○ ○○ ○● ○○ |
○○ ●○ ●○ ●○ ○● ○○ |
○○ ●● ●○ ●○ ○● ○○ |
○○ ○● ●○ ●○ ○● ○○ |
|
クァ | クィ | クェ | クォ | |
○○ ●○ ●○ ○○ ○● ○● |
○○ ●○ ●○ ●○ ○● ○● |
○○ ●● ●○ ●○ ○● ○● |
○○ ○● ●○ ●○ ○● ○● |
|
ツァ | ツィ | トゥ | ツェ | ツォ |
○○ ●○ ●○ ○● ○● ●○ |
○○ ●○ ●○ ●● ○● ●○ |
○○ ●● ●○ ○● ○● ●○ |
○○ ●● ●○ ●● ○● ●○ |
○○ ○● ●○ ●● ○● ●○ |
ファ | フィ | フュ | フェ | フォ |
○○ ●○ ●○ ○○ ○● ●● |
○○ ●○ ●○ ●○ ○● ●● |
○● ○● ○○ ○○ ○● ●● |
○○ ●● ●○ ●○ ○● ●● |
○○ ○● ●○ ●○ ○● ●● |
ヴァ | ヴィ | ヴュ | ヴェ | ヴォ |
○○ ●○ ●● ○○ ○● ●● |
○○ ●○ ●● ●○ ○● ●● |
○● ○● ○● ○○ ○● ●● |
○○ ●● ●● ●○ ○● ●● |
○○ ○● ●● ●○ ○● ●● |
グァ | グィ | グェ | グォ | |
○○ ●○ ●● ○○ ○● ○● |
○○ ●○ ●● ●○ ○● ○● |
○○ ●● ●● ●○ ○● ○● |
○○ ○● ●● ●○ ○● ○● |
|
ドゥ | ||||
○○ ●● ●● ○● ○● ●○ |
||||
テュ | ||||
○● ●● ○○ ○● ○● ●○ |
||||
デュ | ||||
○● ●● ○● ○● ○● ●○ |
「ン」や、促音(ッ),長音(ー),読点(、),句点(。)は次のようになります。これは丸覚えしましょう。
ン | ッ | ー | 、 | 。 |
---|---|---|---|---|
○○ ○● ●● |
○○ ●○ ○○ |
○○ ●● ○○ |
○○ ○● ○● |
○○ ●● ○● |
数字は数字を示すマスを前に置いて次のように表わします。「アイウエオラリルレロ」の順番だと覚えやすいのですが、「アイウルラエレリオロ」の順番となっています。(点字が外国の規則を応用しているからでしょうか。)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|
○● ●○ ○● ○○ ●● ○○ |
○● ●○ ○● ●○ ●● ○○ |
○● ●● ○● ○○ ●● ○○ |
○● ●● ○● ○● ●● ○○ |
○● ●○ ○● ○● ●● ○○ |
6 | 7 | 8 | 9 | 0 |
○● ●● ○● ●○ ●● ○○ |
○● ●● ○● ●● ●● ○○ |
○● ●○ ○● ●● ●● ○○ |
○● ○● ○● ●○ ●● ○○ |
○● ○● ○● ●● ●● ○○ |
各数字の一つ目のマスを「数字符」といいますが、「12345」と書く時は、最初にひとつだけ数字符を書きます。
数字符 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
○● ○● ●● |
●○ ○○ ○○ |
●○ ●○ ○○ |
●● ○○ ○○ |
●● ○● ○○ |
●○ ○● ○○ |
「アイウルラエレリオロ」は3の点と6の点を使用しないので、これを落として「下位数字」と呼ばれる数字を表現することもあります。H2Oのように下付きの数字を表すのに用いられます。
数字符 | 下位 1 |
下位 2 |
下位 3 |
下位 4 |
下位 5 |
---|---|---|---|---|---|
○● ○● ●● |
○○ ●○ ○○ |
○○ ●○ ●○ |
○○ ●● ○○ |
○○ ●● ○● |
○○ ●○ ○● |
「15人」は問題ありませんが「15円」のように数字の後に「アイウルラエレリオロ」のいずれかが続く場合は、「エ」と「6」を間違えないように、「つなぎ符」と呼ばれる3と6の点のマスを入れなくてはなりません。
数字符 | 1 | 5 | _ | エ | ン |
---|---|---|---|---|---|
○● ○● ●● |
●○ ○○ ○○ |
●○ ○● ○○ |
○○ ○○ ●● |
●● ●○ ○○ |
○○ ○● ●● |
アルファベットは数字と同じように、「外字符」を前につけます。
外字符 |
---|
○○ ○● ○● |
「abcdef・・」は数字と同じように外字符の後ろに「アイウルラエレリオロ」を続けます。これに3の点を加えると「klmno・・・」となります。さらに6の点を加えると「uvxyz」になります。何故だか「w」だけがちょっと例外です。
1 a ア |
2 b イ |
3 c ウ |
4 d ル |
5 e ラ |
6 f エ |
7 g レ |
8 h リ |
9 i オ |
0 j ロ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
●○ ○○ ○○ |
●○ ●○ ○○ |
●● ○○ ○○ |
●● ○● ○○ |
●○ ○● ○○ |
●● ●○ ○○ |
●● ●● ○○ |
●○ ●● ○○ |
○● ●○ ○○ |
○● ●● ○○ |
k ナ |
l ニ |
m ヌ |
n ツ |
o タ |
p ネ |
q テ |
r チ |
s ノ |
t ト |
●○ ○○ ●○ |
●○ ●○ ●○ |
●● ○○ ●○ |
●● ○● ●○ |
●○ ○● ●○ |
●● ●○ ●○ |
●● ●● ●○ |
●○ ●● ●○ |
○● ●○ ●○ |
○● ●● ●○ |
u ハ |
v ヒ |
x フ |
y ム |
z マ |
w ソ |
||||
●○ ○○ ●● |
●○ ●○ ●● |
●● ○○ ●● |
●● ○● ●● |
●○ ○● ●● |
○● ●● ○● |
アルファベット関連では次のような記号を用いる事ができます。
ピリオド (.) |
カンマ (,) |
セミコロン (;) |
コロン (:) |
---|---|---|---|
○○ ●● ○● |
○○ ●○ ○○ |
○○ ●○ ●○ |
○○ ●● ○○ |
クォー テーション (“) |
クォー テーション (”) |
アポス トロフィ (’) |
ハイフン (-) |
○○ ●○ ●● |
○○ ○● ●● |
○○ ○○ ●○ |
○○ ○○ ●● |
感嘆符 (!) |
疑問符 (?) |
||
○○ ●● ●○ |
○○ ●○ ●● |
アルファベットは通常小文字とみなされます。大文字を書く時は小文字の前に「大文字符」(6の点)をつけます。大文字符は通常次の1文字のみに有効ですが、大文字符を2つ続けて書くと、それ以降の文字すべてが大文字とみなされます。
外字符 | a | b | c |
---|---|---|---|
○○ ○● ○● |
●○ ○○ ○○ |
●○ ●○ ○○ |
●● ○○ ○○ |
外字符 | 大文字 | A | b | c |
---|---|---|---|---|
○○ ○● ○● |
○○ ○○ ○● |
●○ ○○ ○○ |
●○ ●○ ○○ |
●● ○○ ○○ |
外字符 | 大文字 | 大文字 | A | B | C |
---|---|---|---|---|---|
○○ ○● ○● |
○○ ○○ ○● |
○○ ○○ ○● |
●○ ○○ ○○ |
●○ ●○ ○○ |
●● ○○ ○○ |
以上で、主な文字は表現することができますが、文章を表す時には下記などの規則があります。
これらの事を踏まえると、「今日、僕は東京の国際展示場へ行きました。人が沢山いました。」は、「きょー、□ぼくわ□とーきょーの□こくさい□てんじじょーえ□いきました。□□ひとが□たくさん□いました。」のようになります。
また、外字にも次のような規則があります。
このページの点字はマスとマスの間に広い隙間をあけていますが、実際の点字にはこれほどの隙間はないので慣れるまではちょっと戸惑うかもしれません。
点字を「書く」場合は通常、点字器と点筆というものを使います。紙を裏側から窪ませることによって「書いて」いくそうです。つまり、上で説明したマスを裏から見る感じになります。チコさんから点字器と点字の写真情報をいただきました。
点字に関する書籍(「点訳のてびき」「初めての点訳」など)や、点字器などは、下記から注文することができます。
厨子さんから、入力した文章を点字に変換してくれるサービスも紹介していただきました。(2002.8.11)